インドネシアにおけるデジタル化が急速に進んでいます。
特に、発展途上地域でのインターネット接続率が飛躍的に向上し、国全体でのデジタル化の進展が顕著となっています。
2024年9月に発表されたAPJII(インドネシアインターネットサービスプロバイダー協会)とBAKTI(通信情報アクセス庁)の最新調査によれば、発展途上地域に住む住民の82.6%がインターネットにアクセスしていることが明らかになりました。
この結果は、インフラ整備の進展とデジタル技術が地方にも浸透しつつある現状を示しています。
一方で、インターネットに接続できていない17.4%の住民もおり、依然としてインフラ拡充の必要性は高いです。
この記事では、APJIIの調査結果に基づき、発展途上地域におけるインターネット接続の現状と課題、さらには今後の展望について詳しく解説します。
調査結果の概要:インターネット接続状況の現実
2024年7月から9月にかけて行われたAPJIIとBAKTIの調査では、発展途上地域の「3T地域」(Terdepan, Terluar, Tertinggal:最前線、離島、後進地域)に住む住民の82.6%がインターネットに接続していることが判明しました。
対象となった地域は17州64県にわたり、約1,950件のサンプルを基に調査が行われました。
この調査結果は、地方のデジタル化が着実に進展していることを証明しています。
特に、NunukanやKepulauan Talaudなどの地域での進捗が見られましたが、一方で未だインターネットにアクセスできない17.4%の住民、約170万人が存在し、接続インフラのさらなる整備が今後の重要な課題と認識されています。
インターネット利用者のプロファイルと利用目的
APJIIの調査では、インターネットに接続している住民の年齢や性別に関するデータも報告されています。
男性の接続率が59.40%と女性の40.60%を上回り、性別による利用の差が見られました。
また、年齢層別では、ミレニアル世代が最も多く41.22%を占め、続いてZ世代が36.37%、X世代が15.89%、ベビーブーマー世代が4.66%と続いています。
利用目的については、ソーシャルメディアの利用が47.60%と最も多く、次いでニュースや情報の閲覧(13.60%)、エンターテイメントの視聴(12.50%)といった結果となりました。
さらに、公共サービスの利用やオンライン学習、リモートワークのための利用も増加しており、インターネットが日常生活のあらゆる側面で欠かせない存在となっています。
インターネット未接続の要因:費用とインフラの課題
インターネットに接続できない17.4%の住民が存在する背景には、複数の要因があります。
その中でも最大の理由は、データ通信費用の高さです。14.8%の住民が「インターネットのデータ通信費が高すぎる」と答えており、これは接続を妨げる主要な障壁となっています。
また、26.40%が「インフラ自体が整っていない」と答えており、通信インフラの未整備も大きな課題です。
これに加え、「デバイスの操作方法が分からない」「接続デバイスを持っていない」といった理由があり、技術的サポートや教育プログラムの必要性が浮き彫りになっています。
インフラ投資とデジタルリテラシー向上が、今後の接続率向上に向けた重要な項目となるでしょう。
デジタル化がもたらす経済的効果と政府の取り組み
BAKTIのFadhilah Mathar氏は、デジタル化がインドネシア経済に与える影響についても言及しています。
インターネットの普及により、デジタル経済が成長し、特にパンデミック以降、デジタル経済の拡大が進んでいます。
しかし、インドネシアのデジタル経済がGDPに占める割合はまだ10%未満で、さらなる成長が期待されています。
政府は今後5年以内に17.4%の未接続地域をカバーし、全土でのインターネット接続を実現することを目標としています。
農村部や離島のインフラ整備が加速しており、1,020の村がインターネット接続を必要としている中、既に464村でプロジェクトが進行中です。
デジタル格差の解消に向けた課題と展望
インターネット接続率の向上は、インドネシアのデジタル化における大きな成果ですが、依然として残るデジタル格差を解消するためには、さらなる整備が必要です。
特にインフラが整っていない地域や、デジタルリテラシーの不足が重要課題となります。
ISP(インターネットサービスプロバイダー)の49.23%が、発展途上地域へのサービス展開に対する税制優遇措置を求めており、政府の支援があればインターネットアクセスはさらに広がるでしょう。
まとめ:インターネット接続の未来とデジタル化の可能性
発展途上地域でのインターネット接続率が82.6%に達したことは、インドネシアのデジタル化における重要なマイルストーンです。
しかし、依然として17.4%の住民がインターネットにアクセスできない現状があり、今後の課題は大きいです。
政府や民間企業が協力し、地方のインフラ整備とデジタル教育を推進することで、地方住民が平等にデジタル社会に参加できる未来が開けるでしょう。
デジタル経済の拡大がインドネシアの成長を支える重要な鍵となり、地方経済や生活水準の向上に寄与することが期待されています。
※本記事はこちらの現地記事を引用・翻訳したものです。