インドネシアビジネスインフォメーション

【速報】インドネシア、2025年1月から塩の輸入を全面禁止!

〜医薬品業界への影響と今後の課題〜

インドネシア政府が、2025年1月1日から塩の輸入を全面禁止する決定を発表しました。
この規制は、「Peraturan Presiden(大統領令)No. 126 Tahun 2022」 に基づき、国内の塩産業を強化することを目的としています。

ただし、塩化アルカリプラント(CAP) 用の塩の輸入は例外とされており、それ以外の産業用塩、特に医薬品および食品産業 向けの塩の輸入が停止されます。

この決定に対して、インドネシア食品医薬品監督庁(BPOM RI)のタルナ・イクラル長官は、医薬品業界や食品産業に与える影響について懸念を表明しました。


医薬品業界への影響と塩不足の懸念

BPOM RIによると、インドネシアの年間塩需要は6.4百万トン に達し、そのうち2.7百万トンが医薬品、栄養強化塩、食品産業 で使用されています。

医薬品業界の塩不足問題
医薬品に使用される塩は、年間7,600トンが必要とされていますが、現在の国内生産能力は年間300トン程度に留まっています。

緊急の影響
特に、生理食塩水(NaCl溶液) の製造に必要な塩の不足が、腎機能障害の患者など医療現場への影響を与える可能性があります。

タルナ長官は次のように述べています。 「我々は塩の危機に直面する可能性があります。
私は直接、東ジャワの塩生産企業を視察し、GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造基準) の取得を促進していますが、品質基準の妥協は許されません。」


栄養強化塩の供給不足と健康への影響

また、栄養強化塩(Fortified Salt) の国内生産が極めて少ないことも大きな問題となっています。

栄養強化塩の不足
インドネシア国内では栄養強化塩の生産が進んでおらず、特にヨウ素不足 による健康リスクが懸念されています。

ミクロン栄養素の欠乏
特に妊婦や子供への影響が大きく、栄養不足による成長障害(スタンティング)のリスクが高まります。

BPOM RIは、栄養強化塩の国内生産を促進するため、地方政府や民間企業との協力を進める方針を示しています。


今後の対策と政府の取り組み

国内生産の強化
インドネシア政府は、国内の塩生産を強化するため、技術革新と品質管理の向上 に取り組んでいます。

輸入依存からの脱却
国産塩の供給能力を高め、輸入依存を減らすことで、経済の安定化と雇用創出 を目指しています。

民間企業との連携強化
特に医薬品業界における塩の供給不足を解消するため、国内メーカーとの協力を推進しています。


まとめ:塩の輸入禁止がもたらす影響と今後の展望

本記事では、インドネシア政府が2025年1月から塩の輸入を全面禁止する背景と、それに伴う医薬品業界および食品産業への影響について解説しました。
特に、医薬品用塩の供給不足や栄養強化塩の生産体制の脆弱性が明らかになりました。

今後、インドネシア政府は国内生産の強化を図り、輸入依存からの脱却を目指す方針です。しかし、短期的には供給不足による価格高騰や医療現場への影響が懸念されます。

インドネシアの塩産業の動向は、経済や健康に大きな影響を与える可能性があるため、今後の展開に注目が集まります。

※本記事はこちらの現地記事を引用・翻訳したものです。