インドネシアのココナッツ産業は、かつて世界最大の生産国として知られていましたが、近年ではフィリピンにその地位を奪われつつあります。
この問題に対処するため、インドネシア政府の計画省(BAPPENAS)は、2025年から2045年までのココナッツ産業の「ヒリリサシ(Hilirisasi)」ロードマップを策定し、産業の再活性化を目指しています。
本記事ではインドネシアココナッツ産業の現状と今後についてまとめます。
フィリピンとの競争:インドネシアの現状
インドネシアは世界第2位のココナッツ生産国であり、2023年の総生産量は約15.13億個でした。
しかし、フィリピンの生産量は14.9億個にもかかわらず、重量や価値面でインドネシアを上回っています。
インドネシアのココナッツ産業は未だに伝統的な手法に依存しており、特にコプラ(乾燥ココナッツ)の生産では、その価値が低いままです。
2025-2045年のロードマップ:ヒリリサシの焦点
政府が発表したロードマップの主な目標は、インドネシアがココナッツ生産で世界のリーダーシップを取り戻すことです。特に、以下の点が重要視されています。
1. 生産性の向上
現在、インドネシアのココナッツ農園の98.95%が小規模農家によって運営されていますが、これらを組織化し、新しい技術の導入や高品質な種苗の提供を進めることで、農家の生産性を向上させることが目指されています。
2. 製品の多様化
ココナッツから得られる製品には、ココナッツオイル、ココナッツミルク、バイオ燃料などのさまざまな加工品があります。
特に、バイオアビエーション燃料や医療・美容製品など、未来の需要に対応した新たな市場を開拓する計画です。
3. 輸出の強化
インドネシアはすでに世界最大のココナッツシュガーとシーシャ用のブリケット輸出国ですが、さらなる輸出拡大を目指しています。
特に、ヨーロッパやアメリカ市場向けの高付加価値製品の輸出を増やすことで、ココナッツ産業の国際競争力を高めることが狙いです。
課題と対策
インドネシアのココナッツ産業は、いくつかの課題に直面しています。
まず、ココナッツ農園の多くが高齢化しており、再植林や若返りが急務です。
また、伝統的な生産手法が効率を阻害しているため、フィリピンが進めるような最新の加工技術を導入する必要があります。
さらに、輸送インフラや物流の整備も進められていますが、まだ不十分な地域が多いため、ここでも改善が求められています。
これらの課題に対応するため、政府は技術支援と資金調達の拡大を進めており、特に公共・民間のパートナーシップ(PPP)を通じた支援体制の整備が進行中です。
4. 未来の展望:持続可能な成長のために
インドネシアのココナッツ産業は、正しい方向に進めば、今後数十年で飛躍的な成長が期待されています。特に、サステナブルな農業やバイオエコノミーの概念を取り入れた生産体制の確立が重要です。
これにより、環境に配慮した持続可能な成長と、経済的な利益の両立が可能になるでしょう。
また、国際市場での認知度向上とブランド化も進められており、これによりインドネシア製品の付加価値がさらに高まることが期待されています。
まとめ:インドネシアココナッツ産業の未来
インドネシアは、フィリピンに遅れを取ったものの、今後の成長ポテンシャルは依然として高いです。
政府が進めるロードマップの実施が成功すれば、インドネシアは再びココナッツ産業の世界リーダーとしての地位を確立し、国際市場での競争力を強化することができるでしょう。
※本記事はこちらの現地記事を引用・翻訳したものです。